Build a Base 2022 – 救急シミュレーション

教育・研修・訓練

 

2022年7月10日、聖隷三方原病院・高度救命救急センターの大ホールで『Build a Base 2022』救急シミュレーション・コースを開催しました!
『ベースをつくる』のコンセプトで、救命において重要なスキルや診療技能を学ぶシミュレーションです。

 

聖隷三方原病院の研修医のほとんどに加えて、中東遠総合医療センターの研修医の皆様、浜松医科大学の医学部生さんが参加してくれました!
救急診療に熱いモチベーションをもつナースも10人以上が、学習しながらナビゲーションする役割で参加してくれました!

 

外傷のセッションでは、JATECガイドライン(6th)に基づいた、外傷初期診療を学びました。
『防ぎ得た外傷死』を減らすための診療スキルです。
目立つ外傷に気を取られるのではなく、生命維持に不可欠な気道、呼吸、循環を確保しつつ、全身の診療に移っていく技能です。

 

(今日も俺に挿管してくれて ありがとう!)

気道のセッションでは基本的な挿管に加え、気道確保が難しい場合のオプションについても学びました。
どんな場合でも気道確保ができることが目標です。
通常喉頭鏡とビデオ喉頭鏡の、映像が見えること以外の違いについても学びます。
どうやっても経口挿管できない場合に備えて、輪状甲状靭帯切開(外科的気道確保)についても学びました。
これが学べるコースはとても少ないです!

 

小児のセッションでは、小児に特有の病態評価を学びました。
大人と違ってコミュニケーションがとりにくいことが、小児診療の特徴です。
また年齢によって正常なバイタルサインが異なるので、それに対応する技能が必要です。
このセッションでは成長段階に応じた小児診療のスキルに加え、心停止までの対応を幅広くシナリオ・シミュレーションで学びました。

 

このセッションでは中心静脈カテーテル(CV)の挿入について学びました。
エコーで中心静脈を描出して穿刺することで、動脈や肺を損傷することなく、安全に中心静脈にアクセスすることができます。
正確な手技を行うことに加えて、素早くすべてのプロセスを完了することも大事です。
手やデバイスの安定化、一つ一つの物品を扱う上での詳細な技術を学びました。
手順だけを学ぶよりも、はるかに実践的な技能が身につきました。
また、REBOAについてもデバイスの扱いを学びました。

 

ここでは骨髄針の挿入と留置を学びました。
四肢に広範な外傷がある場合や、小児のCPAなどの緊急状態では、通常のやりかたで静脈路を確保することが困難です。
その場合に確実で迅速に投薬ルートを確保するために、骨髄針が必要になります。
すべての受講生に、EZ-IOを用いた骨髄針の挿入スキルを学んでもらいました。

 

このセッションでは人工呼吸器、NPPV、そしてHFNCについて学びました。
救急科でドクターヘリ研修をしつつICU診療を研修した、呼吸器内科専門医のドクターが講師です。
人工呼吸器を使用する上での土台になる呼吸モード3つについて、基準となる基礎設定を集中的に学習し、その上で病態に合わせた設定をするようにしています。
様々な病態に対して人工呼吸器を使用するならどんな設定にするのか、考えながら実物の人工呼吸器を操作して学びました。
さらにNPPVやHFNCのといった呼吸補助デバイスについても、実際に使ったり装着したりして、その使い方を学びました。
それぞれのデバイスが、それぞれの病態にどのように有効に作用するのかを習得しています。

 

Build a Baseは運営側に講師ドクター、ガイダンスのナース(学習者兼)、事務員で 25人
学習者として当院と他施設の研修医、医学部学生、看護学生で 28人
トータル 50人以上が参加する大きなイベントでした。

インストラクターであるドクターは、救急医だけではなく、一般外科、整形外科、呼吸器内科、小児科のドクターが集まりました。
救急診療と各診療分野の橋渡しをしてくれる、熱いドクターたちが集合しています!

すべての受講者は、数十ページにおよぶ事前学習資料で学習し、それらの知識を備えていることを前提に、ディスカッションとシミュレーションで高い次元の学びを得ていくメソッドで学習しました。

貴重な休日を、救急診療の学びのために協力していただきありがとうございます!
学習者の皆さまがそうであったように、我々インストラクターにとっても素晴らしい学びがありました。

次回はさらにステップアップした内容で、アドバンス・コースを企画しています!

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