能登半島地震 – DMAT派遣の記録

ドクターヘリ

 

地震発災と迅速な対応

2024年1月1日、能登半島沖を震源とする大地震「令和6年能登半島地震」が発災しました。
この災害に対し、聖隷三方原病院・高度救命救急センターは3チームのDMAT(災害医療支援チーム)を3回に分けて被災地へ派遣しました。
医師は救急科、および四肢外傷治療科(整形外科)から派遣し、看護師は救命救急センタースタッフから、ロジスティックは事務部門や臨床検査部、画像診断部から選出しています。

聖隷福祉事業団では聖隷浜松病院DMATと連携し、災害対応車両の受け渡しやリソース搬入など、単一のDMATチームでは実現できない活動を展開しました。
この活動にあたって静岡県庁からも多くの活動支援をいただいています。

 

 

 

DMATの使命と活動

派遣されたDMATチームは、現地での医療支援活動のみならず、被災地のライフラインの支援、派遣・現地を含めた医療スタッフの負荷マネジメントを行いました。

特に最初に派遣された当院DMATは珠洲市総合病院に入ってこれらの活動を展開しました。
一時は病院避難(入院患者をすべて搬出して病院機能を止めること)も選択肢に挙がりましたが、それでは陸路が絶たれた能登半島に残された人々への医療が継続できないと考え、入院診療のダウンサイジング(一部の患者を被災地から搬出し、病院診療は継続する)を行いました。
当院DMATの最大の貢献だったと振り返っています。

 

 

 

 

 

ドクターヘリによる患者搬送

ドクターヘリも同時に派遣し、陸路と空路の両方から被災地を支援しました。
特に被災地の陸路が寸断された地域では、ドクターヘリが重要な役割を果たしました。
ドクターヘリは搬送力はきわめて強力であるものの、原則として一度に一人しか搬送できないもどかしさもあります。
それでも最初のヘリ搬送ができたときに、現地のドクターから「やっと一人、被災地外に搬送することができました。本当に助かります。」とお言葉をいただき、その言葉に込められた被災地の苦しさを感じました。

ドクターヘリは、能登半島から金沢市街へ、被災された患者さんを搬送するミッションを遂行しました。
この活動において、航空自衛隊・小松基地にはドクターヘリ設置とスタッフ用スペースの提供をご協力いただきました。

 

 

 

支援活動の背景と準備

DMAT派遣前には、当院スタッフが被災地対応するための準備をしています。
DMAT派遣用の医療資機材は常備のものがありますが、今回は降雪の激しい、また陸路が絶たれてライフラインの障害も生じているという特性の災害だったため、それらを考慮した準備も加えています。
このような緊急事態における迅速な対応と組織的な連携は、日頃から災害医療に備えている当院の強みが発揮できたと感じています。
また聖隷浜松病院DMATと連携できたことは今回の活動が初めてでしたが、中部地方ブロックからは最も長い活動期間を維持でき、組織的なDMAT活動の可能性を拓くものでした。

 

 

 

最後に

能登半島地震への対応は、私たちが普段から強調している災害医療の重要性を再確認する機会となりました。

能登半島で被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

 

 

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