確かフェイスブックで見つけたのでしょうか。
題名に惹かれて、アマゾンでポチッ。
総合内科の先生が書かれた物語ベースの医学書です。
10篇の物語が、「エピソード」「賢明な読者へ」「エピローグ」の順に書かれています。「賢明な読者へ」の部分には、日々の診療で忘れがちな、おろそかにしがちなことが書かれていて、ハッと気づいたり、一人反省したりしながら読みました。物語なので読みやすく、ちょうど良い難しさもあり、医療者にもそうでない方にもおすすめの本です。
本のはじめに書かれていますが、この本は患者さんの偽った症状を暴く方法が書かれているものではありません。患者さんの症状を医者はどのように捉えているのか?言葉だけで無く、服装や仕草、空気感、付き添いの家族の方とのやりとりの様子などから汲み取っています。患者さんの症状は本当にわかりにくい。患者さんの症状、困っていること、心配なことを汲み取るためには、患者さんが発する情報をよく観察し、よく感じとることが大事であると述べられています。
この本を読みながら、寺澤先生の診察を思い出しました。診察室だけでなく、待合室での様子を受付の窓からそっと観察したり、診察室に入ってくる姿や何気ない会話などからも患者さんの全体像を汲み取ろうとする診療スタイルを、改まって教わると言うよりは後ろ姿から見て学びました。
この本の冒頭に
『伝えようとした瞬間に
伝わらなくなり
隠そうとした瞬間から
伝わってしまう』
と書かれています。
患者さんの体や心の中で何がおこっているのか汲み取れる医療者であるよう、まだまだ修行が必要だと感じた本です。
興味がある方は是非読んでみて下さい。
救急科 まろきち