備えあれば憂いなし。
東日本大震災の後、私は、リュックサックに防災グッズを詰めて寝室に置くようにしました。同じ中身の詰まった色違いのリュックサックを離れて暮らす家族にも渡してあります。
先日の台風24号で、静岡県全域で大規模な停電がおきました。
日曜の夜、寝床に入ったら、パチッと電気が消えました。窓の外を見ると周囲も真っ暗。
あっ、停電だ!
近くに無造作に置いてあった、友人からもらった某アーティストのペンライトを口にくわえて、まずはリュックサックの中に入れていた、手回し発電のライトを取り出す。暗がりで説明書を読みながら、くるくるくるくる回す。え~い、埒が明かーん💢!
そうだ!ランタンも買っておいたはずだと、物置部屋をゴソゴソ。見つかったけど、今度は、電池がなーいorz 真っ暗な部屋で引き出しを片っ端から開けて、電池を探す。あった!ペンライトの明かりで、説明書を読みながら、やっとランタンが灯った!
というような感じで、自分では備えていたと思っていても、いざ、必要になった時は、憂いだらけでした・・・💦
救急外来では、台風が去った日の朝からしばらくは、台風関連の救急搬送が増えました。
停電のため自宅で使用している医療機器に不具合が出てしまったり、信号が消えてしまったことでの交通事故、木の伐採作業や屋根の修復での事故など。
今回は「大規模停電」でしたが、こういう災害時にはどのような不具合が起きるのか、どのような外傷が多くなるのか、など、実際に経験することで、より具体的に考えることができました。
先日、NHKの「知恵泉」という番組で、「江戸の危機管理」について放送していました。
江戸時代、江戸は震災や大火事、飢饉、火山の噴火、洪水など大きな災害に見舞われてきました。苦い経験を忘れずに次に生かすことで、貯蔵していた米でおにぎりの配給、仮設住宅の建設など、この時代にしては驚異的な速さで復興していったそうです。
経験はしっかり蓄積 忘れず貯蔵
備えがあっても、実際に災害が起きた時に、「あ~、こんな備えも必要だった」と気づくことがあると思います。問題点が具体化したら、その経験をしっかり蓄積、共有して、さらにグレードアップした備えを行っていくことが大事かなあと思います。
ちなみに、私の反省点は、電池をランタンと一緒に置いておくこと、でした。
もう一つだけ。
停電で信号が消えて交通渋滞が起きていた際に、救急隊の方が患者さんの搬送に関して機転を利かせ、安全に早く当院まで搬送してくれました。
平時の経験を生かして、災害時の環境の中で、いかに「臨機応変」に対応していくか、これも大事だなと学びました。
救急科 まろきち